THE戯言

Quitters never win. Winners never quit.

優秀なチームはどのようにコラボレーションしているのか? - 高生産性を実現するコラボレーションの秘訣

先日、久しぶりに友達の結婚式の2次会の幹事を頼まれました。

11月半ばの式本番に向けて新郎新婦とskypeで打ち合わせ、他の幹事達とは準備しなければならないこと、スケジュール感、役割などを決めてGoogle スプレッドシートで共有。やりとりは全てLINE。

あー、なんか仕事でやってることとあんまり変わらないなー。これもひとつのプロジェクトだしね、と感じています。

 

そんな中、HBRでこんな記事を読みました。

Dropboxによる数千のプロジェクトの検証により、成功するチームのコラボレーションの秘訣が明らかに』

hbr.org

友人の結婚式の2次会という、絶対に成功させたいイベントを準備している今、間違いなく読んでおくべき記事というくらいぴったりのタイミングでした。

 

この研究は、トップ100の大学を含む1000の大学の学部を対象とし、研究者がDropboxを使ってどのようにコラボレーションをしているかを調査したもので、2015年5月から2017年5月まで2年間にわたって行われました。

どこのトップ100なのかが明確にされていませんでしたが、おそらく世界中の大学が対象になっているのでしょう。

この研究では、Dropbox上にシェアされたフォルダの総数、フォルダの内部構造、ユーザーのアクセス権限情報などの情報を得た上で、下記のようなデータを収集しました。(もちろん個別のユーザー名などは匿名化されており、個人は特定できないようになっていたといいます)

  • ある研究者が作ったフォルダが誰にシェアされたか
  • そのフォルダにユーザーがどのくらいの頻度でアクセスしたか
  • 一つのプロジェクトにおけるコラボレーションの期間
  • 異なるプロジェクトに対し、ユーザーはどのように時間配分をしたか

 

この研究の期間中、だいたい40万人のユーザーが50万のプロジェクトに関わっていたといいます。

これらの情報を得た上で、研究成果においてもっとも優秀だったチームTop10%と下位10%のチームを比較しました。研究成果は、①論文の引用数、②発表した論文数という質と量の両方で評価されています。

この比較の結果、優秀なチームには下記のような特徴があったといいます。

 

1. スモールチーム

生産性の高いチームはそうでないチームに比べて、比較的チームのメンバーが少なかったそうです。これはAmazonなどが採用していると言われる「ピザ2枚ルール」にも見られる通り、生産性を高めるための重要な要素になっているようです。

www.businessinsider.jp

 

2. プロジェクトの時間が長め

上位Top10%のチームは下位10%のチームに比べ、一つのプロジェクトの期間が平均で42日間長かったという結果がでました。時間をかけて各々の研究を進め、内容を洗練させていったのでしょう。プロジェクトの期日が決まっている場合、早めに開始したほうが良さそうです。

 

3. 同じチームで実施しているプロジェクト数が多い

上位チームは、下位チームに比べて同じチームで関わるプロジェクトの数が多かったそうです。上位チームが平均5つのプロジェクト(フォルダ)を同じチームで回していたのに対し、下位チームではその数が3.5にとどまりました。

周りの人間が優秀だからチームを変える必要がなかったのか、プロジェクトを複数回す上で全員が習熟していったのかはわかりませんが、ひとつのチームで回すプロジェクトの数も生産性に影響を与える重要な要素になっているようです。

 

4. チーム間で配分する仕事量が平等

Top10%チームでは、プロジェクトのフォルダへのアクセス数がメンバー間で差がなかったのに対し、そうでないチームでは一人のアクセス数が他と比べて突出するという特徴があったそうです。平等という観点でも問題がありますし、一人のひとが携わる範囲が広がることでリソースが分散してしまい、ひとつひとつ仕事のクオリティが上がりにくくなってしまうという懸念も出てきます。

 

5. 経験豊富なメンバーの貢献度が高い

上の要素と若干矛盾するように聞こえるかもしれませんが、やはり経験豊富なシニアのメンバーがプロジェクトをリードすることで、全体の生産性が上がりやすくなるようです。リサーチの方向性を定めたり、問題設定やゴール設定などプロジェクトの根幹をなす部分に経験があるメンバーがいると、プロジェクトをうまくスタートさせることができるのだと思います。シニアメンバーのプロジェクトへの貢献度が5%違うだけで、結果は大きく変わってくるという結果がでています。

 

いかがでしょう。今は企業でも生産性を高めるためのツールを導入するところが増えてきていると思いますが、導入した後そのツールをつかってどのようにコラボレーションを進めるかこそが重要であるといえます。

このHBRの記事はそれを進めるうえで非常に示唆に富む内容になっています。興味のある方はぜひ原文で読むことをおすすめします。

世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法

世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法