THE戯言

特にまとまりもテーマもない自分の偏愛ブログ - 暇人の所業を覗き込むとき、あなたもまた暇人なのだ

難易度鬼!! サイゼリヤのまちがいさがし

f:id:SAT4383:20180713213849p:plain

 ついにこの本が世に出てしまいました。

有名イタリアンレストランチェーン、サイゼリヤプレゼンツのエンターテイメント「まちがいさがし」!

ポップな絵柄に似合わぬほどの鬼畜難易度を誇るこのまちがいさがし、軽い気持ちで挑戦したが最後、ラストひとつがどうしても見つからずモヤモヤとした気持ちで店を後にすることも少なくありません。

「まちがいが10個あるってところが間違っているに違いない」

そう口にした人も少なくないでしょう。

そんな子供も泣くレベルの難易度を誇るサイゼリヤまちがいさがしが書籍化されました!

サイゼリヤのまちがいさがし

サイゼリヤのまちがいさがし

 

すでにネットでは話題沸騰。「一生かかっても読み終わらない悪魔の本」などの声が上がっているそうです。

 

これがどのくらい難しいか、まだピンときていない(幸せな)人はこちらに挑戦してみてください。

f:id:SAT4383:20180713212335j:plain

 

f:id:SAT4383:20180713212447j:plain

ちなみに私は30分粘って最後の一個がどうしてもみつかりませんでした。

書籍化されたことによる救いは、答え合わせができること。ただやはり敗北感は拭えません。

達成感を味わいたのであれば、最後まで自分の力でやり遂げるべし。

 

ひとつだけアドバイス。本屋で立ち読みしながらの挑戦はやめたほうがいいです。

 

日本企業のビジネスICT導入が全く進まない理由は、もしかしたらより根深い問題かもしれない - 平成30年版情報通信白書

数日前に永江一石さん(@Isseki3) がTwitterで紹介していた「平成30年版情報通信白書」を読んでいます。

この白書からわかることについて永江さんが連日ポストしているブログ記事の内容が素晴らしく、盛大にバズっているようです。

 

これらの記事ははっきり言って絶対に読んでおいた方がいいと思います。それくらい秀逸な記事。特にIT業界に勤めている人、これから社会人になろうとしている人にとっては現状のリアリティを知っておく上で必読といっていいと思います。そりゃバズるよねと納得するクオリティです。

どれもファクトベースで論理展開がされており、とても説得力があり勉強になります。みんな読んでみましょうで終わっても全然いいかなと思うレベルなのですが、それだとあまりにもこの記事の付加価値ゼロ感が強いので、無理やりにでも私なりの見方を付け加えてみたいと思います。

 

そもそも日本は全体的にITリテラシー高くないのでは?

深掘り!! 日本企業のビジネスICT導入が全く進まないのはなぜか」という記事では、日本企業は他の先進国と比較してICTツールの導入が遅れており、それが生産性の低さの主因になっているという問題の主な原因として、経営者の年齢が高いというということをデータを元に指摘しています。

日本における社長の年齢分布は60代以上の構成比が全体の60%近くを占めていること、そして60代を境にITリテラシーが急激に低下することをデータで示しつつ、こういう人がトップにいることでビジネスICTツールの導入が進まないのではと指摘しています。

私もこれについては全く同意見です。効率改善のためのツールの導入について、決定権がある上司がなかなかその価値を理解してくれず説得に困っている、という人たちをよく見てきているので腹落ち感もあります。

 

ただ、自分なりにこの情報白書を読んでみた結果思ったことは、そもそも日本では他の先進国に比べて全体的にITリテラシーが低いのでは?ということでした。

つまり、いま60~70代の社長たちが一斉に引退をして、若い世代に後進を譲ったとしてもそこまで大きく状況は変わらないのではないかなと思うのです。

 

日本では他国に比べてSNSが全然活用されていない(積極的に発信する人が少ない)ということが「平成30年版情報通信白書による、日本人はソーシャル全然利用してないの図とその理由」という記事で取り上げられていましたが、情報白書を読み進めていくと他にも気になるところが多々出てきます。

例えば、日本ではシェアリングサービスの認知度に関する調査で半数以上の人が「当てはまるものはない」と答えています。

f:id:SAT4383:20180712004052p:plain

年代別に見てみると、やはり若い世代の方が上の世代よりも知っていると答える割合が大きくなる傾向にありますが、とはいえどの世代でも「知らない」と答えている人が半数を超えることが多いというのが今の実情のようです。個人の感想ですが、民泊サービスだけ妙に認知度が高いのは、Airbnbについてテレビのニュースで取り上げられることが多かったからかなと思っており、仮にそれが正だとするとそこまで深く理解している人も多くなさそうです。

f:id:SAT4383:20180712004939p:plain

さらに、知っていると回答した人に対して実際に利用してみたことがあるかという質問に対してイエスと答えた人の割合は他国と比べて圧倒的に低いです。

f:id:SAT4383:20180712004434p:plain

知ってはいるけれども使ったことはないという人が8割以上。SNSと同様、積極的に使用した人は少ないという結果になっています。

 

また、APIの認知・公開状況についても日本が他国に遅れを取っている状況が明らかになります。日本ではそもそもAPIについて知らないと答えている企業が半数を占めます。すでにAPI公開に取り組んでいる、もしくは計画、検討段階にある日本企業は全体の15%程度なのに対し、英国やドイツでは60%以上と、4倍ほどの開きがあります。

f:id:SAT4383:20180712010236p:plain

さらに、APIについて認知していると回答した日本の企業でも、公開によるインパクトや課題についての理解は限られているようです。

f:id:SAT4383:20180712010911p:plain

例えば銀行がAPIを開放することで家計簿アプリで残高を確認できるようになるなど、APIを活用することで生活の利便性が格段に向上するようなサービスが生まれる可能性があります。今後革新的なサービスが生まれると期待できそうな分野であるがゆえに、もっと理解が広がって欲しいと思います。

 

最後にクラウドサービスについての理解。クラウドという言葉は大分人口に膾炙してきた感があり、昔と比べると認知度は高まっていると思いますが、それでもなお、それを活用しようとなった場合にどんなことが課題になるかということが明確に把握できていない会社が日本には多いというのが現実のようです。

f:id:SAT4383:20180713222645p:plain

日本における過去5年分のクラウドサービスの利用状況の変化です。2017年の時点で56.9%の企業がなんらかの形で利用しているとのこと。

f:id:SAT4383:20180712013728p:plain

クラウドサービス導入による企業の生産性向上への効果は明白に出ています。その差は年々大きくなっているようです。

f:id:SAT4383:20180713223315p:plain

実際に導入した企業の80%以上が効果があったと考えています。

f:id:SAT4383:20180712013955p:plain

 

それでもクラウドを使用しない理由として、「必要がない」「メリットがわからない、判断できない」というものが多くの割合を占めています。試せるところから小さく始めるというかたちで進めてもいいのでは思うのですが...

f:id:SAT4383:20180712013924p:plain

 

上記で見てきたシェアリングサービスは明確にイノベーションのひとつとして考えられていますし、APIクラウドはそれを活用することでさらなるイノベーションを生み出せる可能性のある技術です。このような技術に対する認知や理解が(比較的)低いという現実があるので、これを受け止め改善のためのアクションを取る必要があると思います。例えば早い段階からICTに関するリテラシーを高める教育に力をいれるというのも一つのソリューションだと考えられます。

というわけで、実は永江さんが指摘していたこちらの要因の方が日本企業にビジネスICT導入が進まない理由として大きいのではないかなあと思うのです。

しかも、このようにITリテラシーにおいて他国の後塵を拝している状況があるにも関わらず、新しく何かを学ぼうという姿勢においても他国に差をつけられています。

f:id:SAT4383:20180712015221p:plain

こうなると差は開く一方なので、やはり公教育というか、若い頃のICT教育というのは重要なんじゃないかなあと思ってしまいますね。

ここまでをざっくりまとめると、下記のような感じでしょうか。

  • SNSやシェアリングサービスなどを積極的に使ってみようとしない(たとえ知っていたとしても)
  • APIクラウドサービスなど、企業の生産性にプラスの影響をもたらすテクノロジーへの反応も鈍い
  • そして、その状態に危機感がなく、新しいことを学ぼうとしない

...なんか残念な姿が浮き彫りになってきてしまった感がありますが、とはいえこのように問題が可視化されたという意味でもこの情報白書がもたらす価値は大きいと思います。スキルがある人や学ぼうという意識を持っている人にとってはチャンスが大きい状況とも言えます。

たとえば産業別の生産性を比較できるこの図を見ると、不動産、医療・福祉、建設、対個人サービスの分野では生産性が低下してきていることがわかります。

f:id:SAT4383:20180712020559p:plain

ICTをうまく活用することで生産性向上の効果があることはこの白書を読めばわかることなので、このような生産性が高くない分野にICTという武器をもって参入すれば、業界にイノベーションをもたらし競合たちを出し抜くチャンスはあるかもしれません。どんどん生産性が改善していっている情報通信産業で戦うよりもチャンスは大きいのではないでしょうか。

 

以上、私なりに感じたことをまとめてみました。他にも発見があるかもしれないので引き続きこの情報白書を読み進めていきたいと思います。

平成30年版情報通信白書

平成30年版情報通信白書

 

 

気がついたらKindle本が増えていた

昨日発売された「Number PLUS プロレス総選挙2018」、早速手に入れました。

 

昨年に続き今年も内藤哲也が1位。さすがの人気ぶり。この結果は納得です。個人的に推している飯伏幸太は...なるほど、という感じ。あとは高橋ヒロムの順位に驚きました。

なぜか表紙がNo Imageで残念

 

そんな話はこの際どうでもよくて、本当にしたい話としてはKindle経由で買いました、という話です。

 

最近は以前に比べて結構Kindleで本を買うケースが増えてきたなと感じており、あまり意識していなかったのですがふと気になってKindleで買った本の数を確認してみたらやはり想像以上に多くて驚きました。

 

圧倒的にマンガが多いのですが、最近は新書や雑誌もKindleで購入することが増えてきています。

 

以前はマンガ以外は紙の本を買うことが多かったのですが、やはり持ち運びが楽なのと保管場所が必要ないこと、あと価格もちょっと安くなっていることからKindle版を買うことが増えています。上記のNumberもKindle版の方が30%オフくらいの値段になってますし。

 

あとは定期的にセールをやっていて、気になっていた本が40~50%オフになってたりするのでそこで買ってしまうケースが多いです。

 

今だとこんな本がセールで30~50%オフになってます。

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論

 
実践版GRIT(グリット) やり抜く力を手に入れる

実践版GRIT(グリット) やり抜く力を手に入れる

 
日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)

日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)

 

 ここであげた本は全部昨日ポチりました。

 

あとはKindle Unlimitedが意外と使える。サービス開始当初は品揃えの面でちょっと微妙かなと思っていたのですが、最近は結構いいタイトルが並んでいます。

 

人気の高いところで行くと、いわゆる幻冬舎 x NewsPicks系がちょくちょく登場します。ホリエモンとか尾原さんとか。前田裕二の「人生の勝算」も一時はUnlimitedで読めました。

多動力 (NewsPicks Book)

多動力 (NewsPicks Book)

 
どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから

どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール

 
人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算 (NewsPicks Book)

 

 

マンガも最初の頃と比べるとだいぶラインナップ良くなってきましたね。といってもまだジャンプに代表される少年誌系は絶無ですが。そんな中でも最近ドラマ化が話題になった「インベスターZ」やうめ先生系のコミックがあるのは非常に嬉しい。 

インベスターZ(1)

インベスターZ(1)

 
南国トムソーヤ (1)

南国トムソーヤ (1)

 

 

Appleが日本に進出するまでの物語を描いた「林檎の樹の下で」は本当に名著だと思います。Appleキヤノンに実は関係があったなんて全く知りませんでした。

 

あと個人的に好きなのは「リバースエッジ 大川端探偵社」 。描かれる人間模様に味があって、ギリギリ実話でありそうと思わせるような面白い話が多いのが魅力です。

リバースエッジ 大川端探偵社 1

リバースエッジ 大川端探偵社 1

 

 

大前研一の「最高責任者」シリーズも含まれているのが嬉しいです。シャオミだったりエアビーアンドビーといった様々な会社のケーススタディが載っており、その会社のビジネスの詳細だけでなく、市場や競合などの周辺情報も一気に知れて重宝しています。

 

月額980円で読み放題なのですが、本一冊を読めば元が取れるようなレベルなので、ヘビーユースしてる私にとっては本当にありがたいサービスです。今後もどんどんラインナップが充実してって欲しいなあと切望しています。

各出版社がもうブックオフにしかないであろう昔のマンガコンテンツをひたすらunllimitedに解放してくれることを願っています。そのときはいよいよブックオフもマズいことになると思いますが...

 

今はprime会員向けに最初の2ヶ月で99円キャンペーンを実施しているみたいですので、この機会にトライしてみるのも面白いのではないでしょうか。

 

さて、あとは買ったKindle本をちゃんと読まないとな

 

 

宮中の家庭の味とは? - 陛下、お味はいかがでしょう。

宮内庁大膳課天皇皇后両陛下はじめ、東宮ご一家の内廷皇族の食事を担当する専属料理人のグループです。本書はその大膳課の厨房第二係に5年間お勤めになり、昭和天皇皇后両陛下に対し毎日お食事をお出ししていた、本物の「天皇の料理番」であった著者による一冊です。

陛下、お味はいかがでしょう。: 「天皇の料理番」の絵日記

陛下、お味はいかがでしょう。: 「天皇の料理番」の絵日記

 

  

私のような下々のような人間にとっては宮中で供される食事についてはなんとなく豪華なんだろうなという漠然としたイメージがあるばかりです。しかも思い浮かぶのは海外の要人を招いた際の晩餐会など特別なイベントでの食事ばかりで、普段皇族がどのような食事を召し上がっているのかは全く想像もつきませんでした。考えてみればそもそも普段皇族の皆様はどこで食事をしているのか、またどのような人が皇族に食事をつくっているのか、どうしたら皇族専属料理人になれるのかなど全く知りません。

そんな私にとって、本書は天皇の料理人としての経験を持つ著者による、高貴な方々のお食事事情を余すところなく披露している非常に貴重な一冊となりました。

 

天皇陛下の朝食は年間通して洋食であり、献立は「トースト」「オートミールまたはコーンフレークス」「温野菜」「サラド」、そして献立には記入されない「カルグルト」が定番だったそうです。なんとなく勝手に天皇家の朝は和食だろうと思っていたのでこれは意外でした。

「サラド」はサラダ、「カルグルト」はヨーグルトのことです。フランス語の発音に近い表記にするとか、牛乳を「乳酪」、カリフラワーを「花野菜」と表記するなど、大膳課独特の表記や呼び方があったそうです。パンを「麺麭(めんぽう)」、もやしを「ヒモ」と呼ぶなどの独特のお作法には著者も苦労したそうです。

 

この他にも、お正月の昼食にはフレンチのワンプレートランチがお決まりになっている(天皇陛下は元日、正装をされていることと午後も祝賀の儀などのイベントが目白押しで昼食をゆっくり召し上がる時間がないため)であるとか、宮中晩餐会では基本的にフランス料理が供されるなど、皇族の料理に関する慣習が次々に紹介されており、ページをめくる手が止まりません。

 

都道府県から献上品として届く(現在は宮内庁の方針として受け入れていない様子)大量の旬の食材をどうさばくかと悩むシーンは、皇族の料理人ならではの悩みでしょう。数日間、昼夜ずっと松茸が出続ける様子はなんとも贅沢のように思えますが、料理する方食べる方ともに過ぎたるはなお及ばざるがごとしの心境だったに違いありません。ちなみに宮中晩餐会でフランス料理が出されるのが一般的なのは、国賓を迎える料理はフランス料理という世界共通の認識があるからだそうです。

 

宮中晩餐会では多くの参加者がおり、200名分の料理を作らなければならないこともあります。そのため厨房は広く、フットサルコートくらいの大きさがあるそうです。天井も高く、学校の体育館をそのまま厨房にした感じといいますからかなりの広さです。ふだん天皇家のお食事を用意するぶんには十分すぎる広さだったというのも当然でしょう。

 

ここで料理を担当していた宮内庁大膳課ですが、全体としては50人が在籍している部署で、主に調理を担当するのが厨房第一係(和食担当)、厨房第二係(洋食担当)、厨房第三係(和菓子担当)、厨房第四係(製パン担当)、厨房第五係(東宮御所担当)の5つのグループで、その他配膳・食器係や事務方としての庶務、経理担当という構成になっているそうです。料理人のことを「厨司」、配膳や事務方担当を「主膳」と読んでいたそうです。著者は第二係だったので、洋食を担当していたことになります。

 

宮内庁大膳課で働くと、官職名は総理府技官、肩書きは「宮内庁管理部大膳課厨司」となり、国家公務員扱いとなるそうです。一般募集はしておらず、欠員が出た場合に宮内庁職員や内部関係者の推薦によって補充するというので極めて狭き門であると言えるでしょう。宮内庁に対し何のコネもない普通の人にとっては厳しいんじゃないかと思います。

 

この謎に包まれた職場で一緒に働く人々の描写も本書の魅力のひとつです。本来「揚げ玉」を指す「タヌキ」を本物のタヌキのことと思い築地で仕入れようとした新人中華料理人、偽物の蛇口でイタズラに興じる女官と料理人(最終的に、期せずして天皇陛下までそのイタズラにひっかかったそう)、天皇陛下に出された魚料理に骨を残すと著者のミスを受けて、仕入先に「おたくの魚には骨がある、どうなってるんだ!?」と電話をいれる主厨長…。規律が求められる職場でありながらもこういうユーモラスなエピソードがしばしば登場してくるそのギャップが非常に面白い。著者がここで働いていたことがどれだけ好きだったかが伝わってくるようです。

 

そして、天皇皇后両陛下に関するエピソード。間近にいる人々しか知りえない貴重なお話の数々からは、お二人の暖かいお人柄がかいまみえます。また天皇陛下のお仕事についても紹介されており、それがいかにハードであるか、その激務をこなす陛下を支えるために料理人がどのように心を砕いているかというところは見所のひとつでしょう。

 

 著者は学習院高等部を卒業後、洋食の名門小川軒へ勤務。その後、大正天皇昭和天皇に奉仕した天皇陛下の料理番、秋山徳蔵氏の引退表明記事を新聞で読んだことがきっかけで自身も宮内庁大膳課を志望するようになります。お父上の伝で面接を受けて、無事に厨司としてのキャリアをスタートさせました。現在は、江古田で『ビストロ サンジャック』というお店のオーナー・シェフを勤められているそうです。

  

本書の第3章では、著者がそのキャリアの中で学んだことを紹介してくれるのですが、なるほど、プロはそういうところをみているのかと思わせるような内容ばかり。

小川軒の教えはいくつかありました。まずはこれ。

「店のセンスを知るには、オードブル」

そして、

「その店の『格』を知りたかったら、スープを飲め」

スープはポタージュではなく、どのように出汁をとっているかがわかるコンソメスープでした。続いてはこれ。

「店の『技術』を見たかったら、肉と魚を食べてみろ」

自分でこれらの教えを実践してみたところでどこまで参考になるかはわかりませんが、プロの目線を知っておくだけでもなんとなく「通」になったような気がします。

 

巻末には天皇家の食卓を再現できるよう、著者が実際に天皇ご一家に作っていた料理のレシピもついています。しかも著者の手による図解つき。これがまたなんともいえない温かみを加えています。本書を読んだ後はこの料理にトライしてみて、雰囲気だけでも皇族の気分を味わってみてはいかがでしょうか。

 

宮中の普段食というトピックだけでも十分面白いうえ、そこで働く人々の人間模様、天皇家の方々とのふれあい、宮中で行われる行事など普段知りえない内容が盛りだくさんの本書。

語り口も柔らかくユーモラスでとても面白い一冊でした。

天皇の料理番 (集英社文庫)

天皇の料理番 (集英社文庫)

 

ナチス体験授業は悪の陳腐さを学ぶのに最高の講義だと思う

一見ギョッとするタイトルではあるが、内容を見るとこの講義が受講生からの評価が高い理由が非常によくわかります。

gendai.ismedia.jp

 

この記事の著者は甲南大学の教授であり、彼が受け持つ講義の一環として「ファシズムの体験学習」を行っているといいます。人がいかにファシズムに流れやすいかを身をもって体験するのが趣旨らしいですが、面白いのはそのことをあらかじめ知っているにもかかわらず、集団で行動していくうちに気持ちの高揚感や快感を覚えたということです。それだけ感化力があるということであり、その分危険だということがよくわかります。

この講義でファシズムの状況を作り出す為に実施していることは下記のとおりなのですが、これが非常によくできており、リアリティを感じます。

  1. 絶対的なリーダーをつくり、集団に承認、崇拝させる。サクラを使い、リーダーのお言葉に従わなかった場合の見せしめも行うなど徹底している。
  2. 集団を一体感を高める施策を行う。衣服の統一、集団のシンボルの制定、敵の設定がこれにあたる。特に重要なのは敵の設定であることは言うまでもない。そこにリア充を選んだところあたり、センスの良さを感じる
  3. 個人で的確な判断ができなくなるような状況を作る。はじめに集団内グループを操作し、集団間でコミュニケーションが取りにくい状況を作っている。仲の良いグループを分断し、リーダーのお言葉に対して集団間で相談できないようにしている

この後、実際に大学構内の敵(=リア充カップル)の排除行動を実施していくのだが、「リア充爆発しろ!」と糾弾していくにつれ、明らかに生徒たちの熱量はあがっていくといいます。

 

実際にこの講義を受けた生徒たちが学んだこととして書いたレポートの要点(下記)も、ファシズムが危険であると指摘される点が挙げられており、非常にリアリティがあります。

①集団の力の実感。全員で一緒に行動するにつれて、自分の存在が大きくなったように感じ、集団に所属することへの誇りや他のメンバーとの連帯感、非メンバーに対する優越感を抱くようになる。

「大声が出せるようになった」「リア充を排除して達成感が湧いた」といった感想が典型的だが、参加者は集団の一員となることで自我を肥大化させ、「自分たちの力を誇示したい」という万能感に満たされるようになる。

社会学者の大澤真幸憲法学者の木村草太の『憲法の条件』という本のなかで、在特会での元会員がデモの参加者は組織の下位層に属する人たちや「自分は周りからは期待されていない」と感じている人が多かったと紹介していた、という場面があります。

自分が挙げたシュプレヒコールに対して周りの人が追随してくれるのがいわゆる自己承認のように感じられ、快感だったというのですが、ここで起こっているのはそれに似たようなことだったのだろうと感じます。

 

②責任感の麻痺。上からの命令に従い、他のメンバーに同調して行動しているうちに、自分の行動に責任を感じなくなり、敵に怒号を浴びせるという攻撃的な行動にも平気になってしまうこと。

記事中で著者が特に強調しているとおり、「みんなやっているから」「命令されただけだから」という理由があると、倫理的に問題がある行為を(それとわかっていながら)してしまう恐ろしさがあります。

記事中でも紹介されている「スタンフォード監獄実験」や「ミルグラム実験」の他に同様のトピックを扱ったものといえばハンナ・アーレントの「エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告」が挙げられます。

 

③規範の変化。最初は集団行動に恥ずかしさや気後れを感じていても、一緒に行動しているうちにそれが当たり前になり、自分たちの義務のように感じはじめること。

「途中から慣れてしまった」「声を出さない人に苛立った」といった感想が示すように、参加者は上からの命令を遂行するという役割に順応し、集団の規範を自発的に維持するようになる。

集団への順応化、適応化が短期間で進んでいることがわかります。いつの間にか命令の遂行に義務感を感じはじめ、その義務を果たしていない人たちに対して不快感を覚えるようになっているところに迫力を感じます。私はここで高邁な理想やお題目を掲げて従業員に無理を強いるブラック企業や先輩への理不尽の命令にも絶対服従するような体育会系のようなイメージを持ってしまいました。

 

実際にこの講義を体験することで、ごく普通の人でもヘイトスピーチを繰り返すような団体に参加してシュプレヒコールをあげるようになりうるというようなことを身を持って理解できたのではないでしょうか。今後の人生のなかで強力なリーダーシップのもと熱狂した集団に出会った場合にこの講義のことを思い出し、その内在的論理や危険性を十分念頭におきつつどう対応するか判断できるようになるのではないかと思います。

 

それにしても、ここで盛大にネタバレしてしまって(サクラの存在まで!)今後この講義をする際に影響はでないのだろうかと心配になってしまいます。もしかしたら何が行われるか完全にわかっていてもなお学生たちへの感化力への影響は変わらないかもしれません。それはそれで興味深い結果であり、熱狂した集団の危険性が改めて浮き彫りになる結果になるのでしょう。

 

ぜひここで学んだ貴重な学びを今後の人生に役立てて欲しいと思います。

 

----関連書籍----

憲法の条件 戦後70年から考える (NHK出版新書)

憲法の条件 戦後70年から考える (NHK出版新書)

 

 在特会ヘイトスピーチデモに参加した元会員のインタビューに関する二人の洞察はこの記事の内容を深く理解するための補助線になると思います。 

 

闇に魅入られた科学者たち―人体実験は何を生んだのか

闇に魅入られた科学者たち―人体実験は何を生んだのか

 

NHKの「フランケンシュタインの誘惑」という番組が書籍化された本。「史上最悪の心理学実験」と評される「スタンフォード監獄実験」の内容やその影響が詳細が紹介されています。それ以外に取り上げられているものも非常に面白く、オススメの一冊です。 

 

 アウシュヴィッツ強制収容所の元所長で、何百万もの人々を収容所に送り込んだ責任者であるアイヒマンは、エルサレムの裁判の場で「私は上の命令に忠実に従っただけです」と回答する。小役人のような姿を目の当たりにした著者の「悪」についての考察や教訓をまとめた一冊。

 

 現代はファシズムが起こりやすい状況が整いつつあるという著者の問題意識が現れている本。民主主義からファシズムが生まれるというロジックが明確にされており、読んでおいて損はないと思います。

一つの時代の区切り - 松本被告ら7人の死刑執行

今朝目覚めて時間を確認しようとスマホの画面を何気なく見てみると、ニュースアプリの通知に目がとまった。

 

松本智津夫死刑囚に死刑執行」

www.nikkei.com

ツイッターもテレビのニュースもこの話題で盛り上がっていた。当然だろう。95年の地下鉄サリン事件をはじめ合計13の事件で罪に問われており、一連の刑事裁判が今年1月に終わるまでもう20年以上も裁判を続けてきたことになる。死刑判決が下り、実際に刑が確定したのは2004年の話だ。

 

ただしそれから彼の刑は執行されることはなく延々と先延ばしにされてきた。彼の死刑を執行してしまうと、殉教者として崇められたり、埋葬場所が聖地になったりしかねないことを警戒しているとまことしやかに語られていた。実際に今朝のニュース番組でもそういう視点から解説がなされていたものがあった。

 

なんとなく執行が延期され続けることがデフォルトになってきた松本被告の死刑を平成最後の年に執行したというのは、やはり一つの時代に区切りをつけるという意図があったのだろうか。そう思わないではいられない。ネット上でも多くの人がこの出来事に「平成の終わり」を感じたそうだ。

www.huffingtonpost.jp

 

松本被告を教祖とするオウム真理教が引き起こした地下鉄サリン事件は、平時の都市部における化学兵器を使った無差別テロ攻撃であるとして、国内だけでなく世界でも類がない事件として衝撃を与えた。

 

1991年にバブルが崩壊し、力強い経済成長に支えられた明るい時代が終焉を迎えた日本に起こったこの事件は、それまでの日本社会が決定的に変容してきたことの象徴と見られることが多い。批評家の宇野常寛は『ゼロ年代の想像力』の中で地下鉄サリン事件が象徴する時代の変化をこのように評している。

後者は、一九九五年に発生したオウム真理教による地下鉄サリン事件に象徴される社会不安を意味する。「自由だが冷たい(わかりにくい)社会」に耐えかねた若者たちが、同教団の神体である発泡スチロールのシヴァ神に象徴されるいかがわしい超越性に回収されテロを引き起こした現実は、当時の国内社会に蔓延していた「意味」と「価値」を社会が与えてくれない生きづらさを象徴する事件だった。ここに見られるのは「がんばれば、意味が見つかる」世の中から「がんばっても、意味が見つからない」世の中への移行である。

結果として、九〇年代後半は戦後史上もっとも社会的自己実現への信頼が低下した時代として位置づけられる。

 「生きる意味」「真正な価値」を歴史や社会が示してくれない世の中に生き、目的を見失った若者たちに、コミュニティとその中で機能する超越性(小さな物語)を与え、それをカルト的な手法で大きな物語の再生であると錯覚させることでかれらを球団史勢力を拡大したオウム真理教ーそのテロ事件をきっかけに露呈した教団の実体は、私たちに時代の生きづらさを決定的に突きつけた。

皮肉にも敗戦五十年目の節目にあったこの年、九〇年代前半に渦巻いていた喪失感は、より徹底された「絶望」として社会に広く共有されることになる。

また、地下鉄サリン事件が起きた1995年には、1月に阪神・淡路大震災も発生している。地震の後には大規模火災も起き、この天災による死者行方不明者は6000名を超えた。

片山杜秀佐藤優による『平成史』では、この震災によって戦後初めて日本は非常時への対応、具体的には戒厳令的なものや自衛隊の出動のあり方などの、戦後日本が封印してきたものについて再考せざるをえないきっかけとなったと語られている。この阪神・淡路大震災地下鉄サリン事件が起こった1995年が平成史における、危機の時代への分水嶺だったのかもしれないという佐藤優の分析には強い説得力があると感じた。

 

全体的に悲惨な年であるように見える1995年だが、また別の大きな社会の変化の種も芽を出し始めていた。日本でのWindows95の発売である。この出来事が、すでに芽吹き始めていたインターネットの爆発的な普及のきっかけとなった。インターネットが深く人びとの生活に根付いた今の社会が、当時からは想像もつかなかったに違いない。これもまた95年を境に起こった巨大な変化である。高度経済成長が終わり、長引く不況に苦しむ危機の時代へ突入した時にも、さらに新しい時代への萌芽が見えていた。

 

終わりがあれば始まりがある。

 

平成という一つの時代が終わろうとしているなか、次はどんな新しいことが生まれてくるのか。願わくば、明るい未来につながる何かであってほしい。

 

ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)

ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)

 
平成史

平成史

 

 

 

<翻訳>若者へのアドバイス from Stripe創業者 パトリック・コリソン

スタートアップの登竜門、Y Combinatorの創始者にしてシリコンバレーのレジェンド、ポール・グレアムが、Twitterで『パトリック・コリソンからのアドバイス』として彼のブログへのリンクをツイートしていました。

 

 

パトリック・コリソンは、オンライン決済のシステムを提供するStripe創始者の一人であり、同社のCEOを務める人物です。日本では同様のオンライン決済サービスとしてメタップスが提供するSPIKEがあります。

 

Stripeは2011年にサービスをローンチし、わずか7年ほどで従業員数1,100名を超える企業にまで成長しました。今やStripeのサービスを使用している企業は世界中に数百万社存在するそうで、その企業価値は100億ドルを超えたとも言われています。日本にもすでに参入しており、今年の5月にはJCBと業務提携をしたことが話題になりました。

www.businessinsider.jp

 

若くしてこのような偉業を成し遂げているパトリック・コリソン(まだ29歳)の人生のアドバイスは参考になるところが大きいと思いますので、勝手に訳してみました。内容が100%正確でないかもしれませんが悪しからず。 

===========================

時々、非常にぼやっとしたアドバイスを求めるメールをもらうことがある(「どうやったら世界を変えられますか?」)。まだまだ若輩の身であるし、僕自身も答えを探しているところではあるけれども、過去の自分にアドバイスをしたらこんな感じかもしれない。

 

10~20代のあなたへ:今が最高の時だよ!

  • 物事に深くのめり込もう。エキスパートになろう。
  • より具体的には、複数の物事にのめり込もう。(程度の差こそあれ、僕は語学、プログラミング、ライティング、物理学、数学に深く取り組もうとした。このうちいくつかは他のことに比べて上達しなかった。)20歳までに成し遂げておいたほうがよい肝心なことの一つは、どんなことをするのが楽しいのかを知っておくことだ。これはそのあとの人生においておそらく大きくは変わらないだろうから、できるだけ早くどの辺りに自分の興味があるかあたりをつけられるようにするといい。
  • 自分がのめり込んでいることにどれほど価値があるのかと悩みすぎないこと。ただし、全く考えすぎないのもよくない。それは君の判断要素のひとつにはなりうるだろうが、それだけで判断すべきものではない。
  • 自分で楽しめる程度にはハードワークをしてみよう。この条件を守る限り、努力に対するリターンが大幅に悪くなることはないかもしれない。もし幸運にも長時間のハードワークを楽しめるようであれば、ありがたくそれを十分に活用しよう。
  • 自分の興味のある分野に造詣の深い人たちとインターネットで友達になろう。インターネットは上の世代の人たちにはなかった最大のアドバンテージのひとつだ。活用しよう。
  • 本を沢山読もう。
  • 君が重要だと思っている事柄について、あなたが敬愛している年上の人々がそう思わないような場合でも、君が正しくて彼らが間違っている可能性は大いにある。世代が変われば事情も変わる。
  • 何よりも、君の成功を判断するのに君の周りの人たちを基準にするという愚を犯さないように。ぜひとも友達は作って欲しいけれど、ティーンエイジャーとして浮いているということもなかなかいいものだ。
  • とはいえ優れたソーシャル・スキルを持っておくことはその後の人生においてメリットがある。だから目を背けないで欲しい。よい第一印象を与え、人を楽しませ(できるかぎり...僕自身も頑張っている)、みんながいる場で話すことが苦にならないように頑張ろう。
  • 何かを作ってみよう。不確実性が高いところで活動することは何かを学ぶのとは全く違う経験になるはずだ。
  • より広く見ても、誰も自分自身のことを考えろとは教えてくれない。君のまわりにいる人たちが信じていることの大部分は間違っている。これを心に刻んで、自分自身の価値観で考えるようにしよう。君の初期条件が格別に恵まれていたと考えない限り、君のまわりのあれこれの相関関係はそこまで強くないはずだ。
  • もし君がアメリカにいて、よい学校に通っているのであれば、きっと君自身に進路を決めさせず、誰かが引いたレールの上を君に走らせようとするようなことが沢山起こるだろう。君は間違いなく自分がやりたいと思っている妙なことをするようにしよう。どんなに普通の道と違っていても。ヒューリスティック:君の学校の友達は君のすすむ道がちょっと変わっていると思っているだろうか?もしそうでなければ、ちょっと普通すぎるかもしれない。
  • サンフランシスコまで足を伸ばしてみて、夢を追う為にその地にやってきた人たちとあってみよう。なぜサンフランシスコかって?サンフランシスコこそ、非常にオープンで、スマートで、エネルギッシュで楽天的な人たちの集まる中心地だからだ。変わったやつらのグローバルヘッドクォーターだ。もちろん、他の場所に旅行する機会も存分に使うといい。
  • 素晴らしいことを成し遂げた人たちは驚くほど若い時にそれを成し遂げていることが多い(有名になったときには髪に白い物が混じっていたりする。それを成し遂げた時ではない)。だから、急ごう!君だってできる。

20~30代のあなたへ:あいにくアドバイスできるほど十分に年を重ねていない。また数年後に!

===========================

原文はこちら:Advice · Patrick Collison

 

 

ポール・グレアムのYコンビネーターについて詳しく知りたければこちらがおすすめ。

Yコンビネーター

Yコンビネーター

 

 

タップス代表の佐藤航陽さんの書いた話題の本がこちら。まだ未読の方はこの機会にぜひ。

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)