THE戯言

Quitters never win. Winners never quit.

【就活】企業は学生からのフィードバックを自社の採用活動に生かしたほうがよい

本当は昨日読み終わった本について書こうと思っていたのですが、就活について書かれた面白いブログ記事を見つけてしまったのでそちらについて先に書こうと思います。

kuranosukessk.hatenablog.com

 

就職活動を終えたばかりの東大生であるくらのすけさんが書いた記事で、以前に著者の方が実施した<就活を経て嫌いになった企業ランキング アンケート>を集計した結果をまとめたシリーズものの記事の一つです。

就活に対して学生さんが感じているストレスがはっきりと可視化されており、非常に見応えのある内容になっています。一個人が始めたアンケートということもあり、学生さんの本音がしっかりとあらわれているというところに大きな価値を感じます。

 

上記の記事では、就活をしてみて嫌いになった企業とその理由についてフォーカスした記事になっていますが、この記事は就活生だけでなく企業にとっても目を通しておくべきものだと感じます。特に<企業別 嫌いになった理由>として著者がまとめた29ページのPDFレポートは必見です。

就活 企業を嫌いになった理由.pdf - Google ドライブ

就活生にとっては今後自分が応募すべき企業のフィルタリングに役立てることで自分の時間の有効活用や不要なストレスの軽減(あらかじめ覚悟を決めておくことで実際にストレスを感じる状況に直面してもダメージを抑えられる)に活用できますし、企業側にとっては自社の採用活動のさらなる改善に役立てられると思います。

 

どんなときに学生は企業のことを嫌いになるのか? 

くらのすけさんがまとめてくださった778にも及ぶ回答をしっかりと見ていくと、当然ながら企業が嫌われる理由には傾向が見えてきます。だいたい下記の理由が多いです。

  1. 選考におけるステップが杜撰、不手際がある
  2. 選考担当者の対応
  3. 企業文化が合わない

1については選考結果連絡が遅いもしくは全く連絡がないというのが圧倒的でした。

2については面接担当の社員の態度が悪く、学生に対するリスペクトが感じられないという叫びが多かった印象です。コンプライアンス的にアウトな内容を社員が口にしていたという内容もありましたが、正直それは論外。会社側としてはイメージを落とす要因になるので早めに改善すべき内容です。

圧迫面接という声も非常に多かったのですが、これもリスペクトの問題かと個人的には思っています。当然面接官としては学生の回答についてどんどん深堀っていくこともあると思いますが、その際にも学生に対してリスペクトのある姿勢が見られれば圧迫面接とは思われないでしょう。

当社ではあえて学生のストレス耐性を見るためにあえてストレスフルな面接を実施している、という企業も少なくないかもしれませんが、その場合は3の企業文化の問題になるでしょう。体育会系のノリを重視するといったものもこれに含まれます。もうこれについては合う合わないかなと思います。

個人的には圧迫面接を仕掛けてくるようなところに対しては下記2つの理由で即さようならを決断します。

  1. わざわざストレス耐性を見るということは、ストレスの多い働きにくい職場何だろうと思うため
  2. 面接が終わった後には顧客という立場になるかもしれない学生に対して自社のイメージを下げるようなことをする会社はちょっと思慮が浅いと感じるため

嫌いになった企業ランキングを見てみると、実際はいい会社なのになあ〜、もったいない!と感じるところもいくつかありました。いいところが学生さんにまったく伝わらず、むしろ現場でのちょっとした対応によって嫌われてしまうのは本当に残念なことです。

せっかくこのように率直なフィードバックがあるのですから、これを活かさない手はないだろうと思います。

 

就活への怒りがサイト運営会社へ向かう 

嫌いになった会社ランキングの1位、2位はリクルートマイナビと、就活で必須になるリクナビマイナビを運営する両者がワンツーフィニッシュを決めています。特にリクルートは2位に圧倒的大差をつけてのぶっちぎりの1位。

ただし嫌いになった理由としては両者の選考に対する不満というよりも就活そのものに対するストレスからの怒りが大きいです。正直まあ無理もないと思ってしまいますが。

 

この結果を見て思い出したのが、ドワンゴ会長の川上さんのこちらの主張です。

wedge.ismedia.jp

リクナビマイナビが生み出した一括エントリーの仕組みによって、ひとりの学生が50社や100社にいっぺんに応募をすることができるようになりました。(アンケートの中で、「エントリー企業がたりません!内定をもらったひとはもっとエントリーしています」的な煽りをうけたというフィードバックもありました)

学生サイドから見ると応募のハードルが下がり、メリットが大きいように思えますが、企業側から見ると大量のエントリーが届くようになり選考にかかる手間や時間が莫大になってしまいました。

結果、学歴やSPIなどテストの結果で一括フィルター(足切り)をしないととても手が回らない状況に。そして、企業側にそのソリューションを提供したのもまたリクルートリクルートの一括エントリーシステムを使っている企業はだいたいどこもリクルートのフィルターソリューションを使用しているという状況になったそうです。同じ会社がフィルターソリューションを提供しているため、そのソリューションを採用している会社の足切りラインは当然どこも同じになります。つまりある会社で足切りラインに届かなければ、他の企業でも同様に足切りされるということになります。

こうして、100社にエントリーして100社から断られるという心の折れる状況が作られてしまった、諸悪の根源は武器商人的な動きをしたリクルートだ、という話です。

 

ちなみこの話がでてから、リクナビにはドワンゴの求人掲載を断られるようになったというオチまでついたそうです。数年前の話ですが、ネットではしっかりまとめられていました。

matome.naver.jp

 学生さんの間でもこういう認識がされているのかどうかはわかりませんんが、就活の歪な構造への不満が非常に高まっているのを感じます。

 

この結果をどう活かすか? 

せっかくこのように率直なフィードバックが得られたのですから、もしランクインしてしまった企業としては積極的に活用していくべきでしょう。それによってより優秀な人材を獲得できるようになったり、学生のエンゲージメントを高められるようになるかもしれません。

これだけ就活において企業に邪険にされてストレスを抱えている企業が多いのですから、ここでの対応をしっかり行うだけで逆に好感度を上げるチャンスとなるのではないかと考えます。

選考活動と考えると企業側が選ぶという上から目線にどうしてもなってしまうというのであれば、一種のPR活動でもあるという意識を持つようにしてもいいかもしれないと個人的には思います。こちらのカゴメのケースがよい例でしょう。

togetter.com

特にBtoC企業にとっては顧客のロイヤリティが重要になるので、こういうところで差をつけることができるなら力を入れていくべきだろうと思います。

 

それにしても、今回こういう集計を実際に見てみてこの可視化による価値は大きいなと感じました。就活を通じて好きになった企業とその理由のアンケートをやってみたらすごく面白いんじゃないかと思いますね。むしろ改善のためのアイデアが見つけやすくなるのでそちらのほうが価値があるかもしれません。

こういう、各企業の選考に関するフィードバックをまとめてランキング形式にするメディアをつくったら役にたつんじゃないかなあと思ったり。

いろいろと考えさせられたブログポストでした。面白かったなあ。

 

 

 就活をテーマにした作品と言えばこちら。個人的には映画版のほうが好み。

何者

何者

 

就活にまつわる話は外から見れば結構喜劇的だったりする。エンターテイメントとしての就活ならこれが外せない。実際の就活に参考になるかどうかは保証できない...特に今の時代には

学生 島耕作 就活編(1) (イブニングKC)

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