THE戯言

Quitters never win. Winners never quit.

健康に長生きがしたい。でも、どうしたら? - 健康の結論

健康の結論

今ではあまりにも有名な、伝説とも呼ばれるスティーブ・ジョブズスタンフォード大学でのスピーチの一節にはこのようなものがあります。

No one wants to die. Even people who want to go to heaven don’t want to die to get there.  (誰でも死にたくありません。天国にいきたいと願う人であっても、そこに行くために死にたいとは思いません)

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死だけでなく、病気など健康を損なうことは誰にとっても嫌なことであることは間違いありません。ただ、自身の健康を保つために十分なことをしている、できているという人はどれだけいるのでしょうか。食事の際に脂っこいものを避け、野菜を多く摂取するようにしているというようなレベルであればそれなりにいるかもしれませんが、それよりもより致命的になりかねない病気や疾患を予防するために定期的に病院で検査しているというような人は少ないでしょう。

人生100年時代が叫ばれている昨今、問題となっているのは単純な寿命ではなく健康寿命です。いわゆる寝たきりのような健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間をいかに長くするかが、我々の今後の課題になってくることは間違いありません。

ホリエモンの新刊『健康の結論』は、最低限の健康を保つため、いうなれば避けられたはずの無駄死にを予防するための手段を知るために読んでおくべき一冊と言えます。

テレビを見れば健康に関する情報番組が数多く流れ、本屋に行けばヘルシーな食事やダイエットなども含め、健康な生活に関する書籍が山積みになっています。ただ、そこで得られる情報には本当に効果があるのか疑問に思うものが少なくありません(マイナスイオンとか水素水などはその一例と言えます)。

その点、本著は「医師の側が持っている科学的根拠のある正しい情報をピックアップし、一般の人にも分かりやすく」紹介すると謳っているだけあり、それぞれ専門の医師に取材した内容が平易な言葉で説明されています。内容も予防医療普及協会の監修がしっかりとついており、その科学的信頼性についても安心できるものでしょう。

彼がピロリ菌こそが胃がんの原因であり、除菌することで予防できるという啓蒙活動を行ってきたことは有名だと思います。

一般にがんは生活習慣が大きな原因と思われているが、日本人のがんの約25%は細菌やウイルスによる感染症が原因といわれている。たとえば胃がんの場合、ピロリ菌への感染が主な原因で、検査で早期に感染がわかれば薬で除菌治療することができる。

これにより、私のまわり(私もふくめ)では健康診断の際にピロリ菌検査のオプションを選択する人が明らかに増加しました。この検査で胃がんにかかるリスクを減らせるなら当然でしょう。逆に、知らないことで予防のチャンスを失ってしまうことを考えると怖いなと思います。

本著では「心臓突然死」「脳血管疾患」「がん予防」「デンタルケア」など、どれもQoLに関する病気の予防について詳細に紹介されていますが、面白いと思ったのが「メンタル管理と自殺予防」というトピックをまっさきに扱っているところです。

病気よりもまず自殺についてのトピックを取り上げるところに、年間2万人以上が自ら死を選ぶ状況に対する著者の問題意識が感じられます。自殺予防の専門家である精神科医の松本俊彦先生の『自殺者の「死にたい」という気持ちは、裏を返せば「これほど辛くなければ生きていたい」という叫びだ』という指摘は今後も忘れずにいたいと強く思いました。

若年層においては事故死よりも自殺の方が多い状況を改善するため、自殺を選ぶ人はどのような問題を抱えている傾向があるか、「死にたい」とつぶやく人に対してどのように対応したら良いのか、本著を読むことで明確なガイドラインを知ることができます。

自殺を考える人の精神状態が平常でないことは間違いありませんが、ともすれば身体的な疾患に注目が生きがちな健康というトピックにおいてまっさきに自殺を取り上げるところに「人の命を守る」という著者の真剣さが感じられましたし、だからこそこの本は多くの人に読んでもらいたいと思いました。

ホリエモンは間違いなく現代日本におけるオピニオンリーダーの一人ではありますが、専門家と一緒に健康に関する正確な情報を広めていこうとするこのような活動は非常に価値のあるものだと思います。

ひとりでも多くの人が本書を手にとり、心身両面における健康についての知識を身につけて欲しいと思います。

 

 

 

「決算が読めるようになるノート」でおなじみのシバタナオキさんによる、スマート脳ドックの体験レポート。こんなにお手軽に脳ドックが受けられる時代になっていることに驚きです。今度健康診断のついでに受けにいこうと思っています。

 

ホリエモンの健康に関する別の著作。これによって胃がん=ピロリ菌のイメージが普及したと思います。 

むだ死にしない技術

むだ死にしない技術

 

   

放射線技師達と放射線科医達の物語。「健康の結論」では子宮頸がんについて取り上げられていますが、同じく女性がかかりやすいがんのひとつである乳がんについて扱った話があります。男性側も知っておいた方がいい内容が多いです。