真夏の熱戦!! G1 CLIMAX 8.11大会@武道館
昨日、新日本プロレス真夏の祭典、G1 CLIMAXを観戦しに武道館まで行ってまいりました!
G1 CLIMAXとは、20名の選手が2つのブロックに分かれ、それぞれ総当たりで約1ヶ月に渡って試合を繰り広げる夏の恒例イベントです。出場できるのはいずれもエース選手のみなので、どの試合を観ても面白いというファンにはたまらない大会なのです。短期間に何戦もこなさなければいけないので、選手にとっては本当に過酷だと思うのですが...。
昨日はBブロックの試合が行われる日で、Bブロックからの優勝決定戦出場選手が決まる日でした。Aブロックはすでにこの前日に棚橋選手が決勝進出を決めており、この日決まるBブロックの優勝決定戦出場選手と8/12(今日)にG1の決勝戦を戦うことになります。
結論から言うと名試合に次ぐ名試合!熱戦に次ぐ熱戦!で、今も興奮が止まりません。公式戦以外の5戦も含めハズレの試合ひとつもなし!いや、矢野vsタマ・トンガ戦はBULLET CLUB OGの乱入によってちょっと後味の悪いすっきりしない結果になってしまったことは否めませんが...。
前日に公式で警告が出ていたのにもかかわらず...彼らはいったい何がしたいのでしょうか?
それ以外は本当に素晴らしい試合の連続でした。
第5試合には本間選手が出場!これは嬉しかったです。復帰後のこけしがみれたのは本当に胸が熱くなりました。こけしを躱したオカダ選手に対し会場がブーイングが飛んでいたので、みんな同じ気持ちだったのではないでしょうか。
公式戦も最高に熱い試合の連続で、どの試合でも選手の気合が入っているのが伝わってきました。ここではその盛り上がりを伝えきれないのが辛い。
ジュース・ロビンソン vs 後藤洋央紀。
後藤が勝つと思ってたんですけどね...。やはりIWGP US王者のタイトルは軽くないということですね。後藤は終わってみればリーグ戦最下位タイなんですね。あの後藤でもこの成績というところにG1のレベルの高さが感じられます。ジュースのフライングクロスボディ美しかった。
石井智宏 vs SANADA。
今年のG1では、私の中でSANADA選手の評価が爆上がりしました。正直これまではあまり注目していなかったのですが、このキレキレのムーブに目を奪われました。今後はちゃんとフォローしていきたいと思います。しかしそんなSANADAでも勝てないのが石井智宏という選手。序盤SANADAからチョップを散々浴びながらも意に介しないようなアピールをしてた時の顔がめちゃくちゃ怖かったです。石井選手の垂直落下式ブレーンバスターで決着。
セミファイナルは内藤哲也 vs ザック・セイバーJr.。
内藤、ゆっくりとしたリングイン。プラスなかなかコスチュームを脱がないw ザックが明らかにイライラしていました。内藤としてはまさに「トランキーロ」って感じだったのでしょう。ゴングと同時にザックが内藤を襲撃していきました。
それにしてもザックの関節技は綺麗ですよね。本当にどんなタイミングでもサブミッションに移行する技術に「嘘だろ?」と思ったことは少なくありません。内藤の得意技デスティーノも卍固めで返されてました。そんなことができるのはザックならでは。
内藤も一度返されて引き下がるわけにはいきません。再度デスティーノを狙い、今度はしっかりとザックをマットに突き刺しました。ロープを使ったDDTといい、内藤の技はアクロバティックで観ていて非常にスカッとするものが多くて好きです。
しかし、止めのデスティーノを堪えたザックが逆にザックドライバーをお見舞い。これがフィニッシュとなりました。
そして最終戦。会場のボルテージはMAXです。
この日、どの試合も素晴らしいカードだったのですが、この試合に対する会場の期待はやはり格別でした。観客の多くも明らかにこのメインイベントを目当てにしていました。Golden LoversのTシャツを着ていた人をたくさん目にしました。
かつてGolden Loversというタッグを組んでいた2人。この2人のシングル戦は6年前に行われ、その時は飯伏の勝利に終わっています。しかしその後の6年で2人の立場には差が出てきてしまいました。ケニーがIWGPヘビー級のチャンピオンベルトを持つに至ったに比べ、飯伏はその評価の高さとは裏腹に無冠の状態が続きます。
今年に入り、BULLET CLUBとの内紛からケニーが襲撃を受けた際に飯伏が救出に現れて以来、今までなんとなく距離があった2人がまた急速に距離を縮めていったのを嬉しく思うファンも多かったでしょう。
そんななかでの2人の勝負。盛り上がらないわけがありませんでした!
タッグを組んでいたこともあり、お互いの手の内は知り尽くしている2人。勝つためにはそれを上回る攻めをしなければという気合があったのか、両者ともまるで容赦のない技の応酬が続きます。特に両者の打撃のエゲツなさは半端じゃありませんでした。
飯伏の得意ムーブであるミドルキック→ムーンサルトボディプレスもこの日はムーンサルトダブルニーへ変形。ケニーの胸部に飯伏の膝が突き刺さった時には会場にどよめきが走りました。あまりにもエグかった...。
ケニーも負けじとVトリガーを連発していましたね。あれを何発も食らうというのはあまり想像したくありません。試合後、飯伏が試合の記憶がないと話していましたが、そうなっても無理はないと誰もが思ったでしょう。
最後は、飯伏が膝パッドを外した状態からカミゴェを叩き込んで勝利。一度はカミゴェを食らったあとのフォールを返したケニーもここで力尽きました。
会場は大歓声と大きな拍手に包まれました。
ケニーのノータッチ・トペ・コンヒーロ。
ケニーの雪崩式ドラゴンスープレックス。しかしこれは飯伏がバク宙して着地。無事エスケープする。信じられん...。
Vトリガーが飯伏に炸裂。インパクトの音が会場に響き渡る。恐怖!
飯伏の攻めも相当えげつない。コーナー最上段からのケニーの後頭部へフットスタンプ。死ぬだろこれ。
フィニッシュのカミゴェ!膝パッドがないむき出しの右膝がケニーの顔面に突き刺さる...!!
このインパクトをごらんください。常人なら即死してもおかしくないであろう威力...!しかもこの前にも一度ケニーはこれを食らってフォールを返しています。彼もやはり化物...!
簡単に書くつもりが結構時間かかってしまいました...。これでもまだ書き足りないのですが、すでに今日の試合が始まってしまっています!!
詳細な試合内容を知りたい方はG1特設サイトからご確認ください。
G1を制するのは棚橋か!?飯伏か!?
きっとGOLDEN STARがやってくれるはずだと信じています!目指せ神越え!
今日は新日本プロレスワールドのLIVEストリーミングで応援したいと思います。
楽しみすぎる!!!
Number PLUS プロレス総選挙 2018 (Sports Graphic Number PLUS(スポーツ・グラフィック ナンバープラス))
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2018/07/10
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麗しき誤解のうちに、他人の褌で勝負する - 人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている
なんというか、今まで目を背けていた自分にとって不都合な真実を水も漏らさぬようなロジックをもって突きつけられた気分です。薄々は気づいていたけど、やはりそこからは逃げられないのかという気持ちになりました。
ただこれは決してネガティブな意味ではありません。学んだことを実行に移すか移さないかという自分の覚悟次第だというところまでクリアになったのは今後の自分のキャリアを考える上で非常にありがたいことだと思っています。
どこの企業も同じだと思いますが、私の会社では仕事で評価されるためのポイントとして「プレゼンス(存在感)」が重要とされています。要は私はこういう成果を出しました、こういう形で会社に貢献していますということが周囲の人間(特に評価をする上司たち)に可視化されることが大事であるということです。
そして、そのプレゼンスをあげるためには様々な方法があり、それは先輩や上司からアドバイスされるような、ある種社内の公式ナレッジとして共有されています。
例えば上司の上司とよく会話するようにして、今自分がどんなことをやっているかをコミュニケーションしておくこと。他のチームのマネージャーとからも評価してもらえるように、何か一緒にプロジェクトを回してみること....こういうことが評価のタイミングで重要になってくるのです。
そして、私はそういう活動に対しあまり積極的ではありませんでした。正直に言って苦手意識すら持っています。
「なんだかんだ言ってもしっかりとした実力をつけて優れたパフォーマンスを出していればちゃんと周りからは評価されるだろう」
そう考えていました。
しかし、この認識は甘い。甘すぎる。
それがちゃんと理解できただけでもこの本を読んだ価値は大きかったと思います。
本著で主張されていることを一言でまとめると、
『人間には誰しも無意識の「思考の錯覚」があり、それが何かを評価するときに大きな影響を与えている。であれば、その「思考の錯覚」を熟知し、うまく活用することで自分の評価をあげることにつなげようではないか』
ということです。
「思考の錯覚」とは行動経済学や心理学などで実証されてきた人間の認知バイアスから生まれるものです。この認知バイアスはハロー効果やヒューリスティックス、後知恵バイアスなどが代表的な例としてあげられます。このあたりは世界的ベストセラーになったダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』で取り上げられているのでご存知の方も多いでしょう。この認知バイアスによって、本当は正しくないことであっても正しいと思ってしまうというような「錯覚」が生まれます。
本書では、イケメンの政治家はそうでない政治家と比べて得票率が高くなる傾向があるという例があげられており、見た目の良さによって実力が実際以上に評価されるということが紹介されています。
このように、他人が抱く思考の錯覚のうち、自分にとって都合のいい思考の錯覚のことを「錯覚資産」と呼びます。
この「錯覚資産」を活用することが自分の人生を成功に導く一番のカギであるというのが本書で一貫して語られているストーリーになります。
「錯覚資産」の多い人は、本著の定義では「実力はないが、実力があるように見せかける能力のある人」となります。
本著では「本当に実力がある人」ではなくこの「錯覚資産」の多い人の方が成功しやすいと主張していますが、その理由は下記のようなことが往々にして起こるためです。
会社は、実力タイプよりも、錯覚力タイプの方が有能だと認識するので、錯覚力タイプは、実力タイプよりも、よりよいポジションや成長のチャンスを手に入れられる。
錯覚力タイプは、エリートコースに乗り、いい先輩の丁寧な指導を受け、重要な仕事を任され、みんなに助けられ、実力アップの機会に恵まれる。
実力タイプは、数年後に廃棄が決まっている老朽化したシステムのお守りや雑用ばかりさせられ、ろくな経験を積めず、実力が伸び悩む。
結果として、数年後には、実力においても、錯覚力タイプが、実力タイプを追い抜いているのだ。....
つまり、
「錯覚資産によって、よい環境が手に入り、よい環境によって実力が育ち、実力があるからそれが成果を生み、その成果を利用してさらに錯覚資産を手に入れる」というループが回ることで、錯覚資産と実力が雪だるま式に増えていくという構造があるのだ。
詳細は本に譲るとして、「成果」に繋がる3要素である「錯覚資産」「実力」「環境」の関係を図にすると下記のようになります。
ここで重要なのは、成果に繋がるループのうち、実力よりも錯覚資産の方が通過点となっているループの数が多いということです。
つまり、成果を出して成長したいのであれば、「実力」よりも「錯覚資産」を増やした方が圧倒的に効率がよいということです。もしあなたが成長したいのであれば、「スキルアップそのもの」に投資するよりも「スキルアップできる環境を手に入れること」に投資する方がリターンは大きいでしょう。
では、どうすれば錯覚資産を増やすことができるのでしょうか?その答えはぜひ本書で確認してみてください。
ちなみに私は本書を読んでいるなかで、ソフトバンクグループ孫正義会長が「カンブリア宮殿」に出演した際に言った「麗しき誤解のうちに、他人の褌で勝負する」という言葉を思い出しました。
ソフトバンクは自分で何も発明していない。だが、他人の褌を借りても一つの方法だ。麗しき誤解のうちにガツンと手を組んでしまえ、です。ちっぽけでも、ちっぽけな人が集まれば、何か面白いことができる。
これこそまさに「錯覚資産」の活用の最たる例であると感じます。現在のソフトバンクグルーブの活躍を見ると、本著の主張には強い説得力を感じます。
本著で成功のための秘訣を知ったあと、最後に残されたチャレンジは、どこまで徹底して実行するかだと思います。今まで実力さえつけておけば成功できると考えていた人間が、錯覚資産といういわばペテンのようなものを増やす方向にうまくピボットできるのか。各人の覚悟が問われるところだと思います。
私はこれまで著者のふろむださんのことは浅学にして存じあげなかったのですが、あの尾原さんが思考の師匠と呼ぶ人であり、はてぶで記事を書けば大バズを巻き起こすスーパーαブロガーだそうです。ネットでも多くの人たちが本書をプッシュしています。
私の文書・思考の師匠の本が
— 尾原和啓/どこ誰発売! (@kazobara) August 9, 2018
どこ誰編集横田さんから出版!
勘違いを
どう利用するかという
今ネットで活躍してる人が
意識的無意識的に
成り上がるために使ってる
秘術を正面から暴露してしまう
という内容やばすぎです。
田端さんとの対談みたいなぁhttps://t.co/sZMKUhkHWG
書籍はまだ読んでないですが、人の評価は知覚認識でありそれをHackする、防衛せよ、というお話。これはブランディングの話そのもの。非常に面白い!|「実力を磨くよりも、はるかに人生を好転させる方法」の本がガッツリ5章分無料で読めます - ふろむだ@分裂勘違い君劇場 https://t.co/N75GHAXY25
— 山口義宏@インサイトフォース (@blogucci) August 9, 2018
これあまりに良い本。人生のうまくいく方法のネタバラシがすごいですw。https://t.co/OooRMq6b9M
— けんすう (@kensuu) August 10, 2018
ふろむだ氏の本の書評(感想文)を書いた。この本はマジで面白いのでオススメだよ。
— フミコ・フミオ (@Delete_All) August 8, 2018
『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』(ふろむだ著)は控えめにいって人生を変えうる悪魔の書なのでみんな読んだほうがいい。 - …https://t.co/yPQlIEV1ec
読んでみた!ふむふむ、そうそう!という感じで、自分の普段から思っていることを凄く精緻に言語化してる感じ。ブランド人のブランドって、要はフロムダ氏の言う「錯覚資産」だね https://t.co/A71TmWYxIR
— 田端@「ブランド人になれ!」Amazonビジネス実用でセールス1位 (@tabbata) August 11, 2018
彼のブログ「分裂勘違い君劇場」とTwitterは今後しっかりフォローしていきたいと思います。
本著で出てきた「認知バイアス」について知りたい場合、おそらく世界でもっとも読まれているであろう作品がこちら。ただし、この中で取り上げられている論文の中には再現性が疑わしいものがあるということにも注意しておくべきです。
行動経済学の生みの親とも言われる、ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキー2人の関係と共同研究の歴史を丁寧に記述した一冊。
私が最初に行動経済学という概念を知った本がこちら。非常に読みやすい内容で、当時大学生だった私でも理解できるような易しい表現になっています。
- 作者: マッテオ・モッテルリーニ,泉典子
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2008/04/20
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健康に長生きがしたい。でも、どうしたら? - 健康の結論
今ではあまりにも有名な、伝説とも呼ばれるスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学でのスピーチの一節にはこのようなものがあります。
No one wants to die. Even people who want to go to heaven don’t want to die to get there. (誰でも死にたくありません。天国にいきたいと願う人であっても、そこに行くために死にたいとは思いません)
死だけでなく、病気など健康を損なうことは誰にとっても嫌なことであることは間違いありません。ただ、自身の健康を保つために十分なことをしている、できているという人はどれだけいるのでしょうか。食事の際に脂っこいものを避け、野菜を多く摂取するようにしているというようなレベルであればそれなりにいるかもしれませんが、それよりもより致命的になりかねない病気や疾患を予防するために定期的に病院で検査しているというような人は少ないでしょう。
人生100年時代が叫ばれている昨今、問題となっているのは単純な寿命ではなく健康寿命です。いわゆる寝たきりのような健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間をいかに長くするかが、我々の今後の課題になってくることは間違いありません。
ホリエモンの新刊『健康の結論』は、最低限の健康を保つため、いうなれば避けられたはずの無駄死にを予防するための手段を知るために読んでおくべき一冊と言えます。
テレビを見れば健康に関する情報番組が数多く流れ、本屋に行けばヘルシーな食事やダイエットなども含め、健康な生活に関する書籍が山積みになっています。ただ、そこで得られる情報には本当に効果があるのか疑問に思うものが少なくありません(マイナスイオンとか水素水などはその一例と言えます)。
その点、本著は「医師の側が持っている科学的根拠のある正しい情報をピックアップし、一般の人にも分かりやすく」紹介すると謳っているだけあり、それぞれ専門の医師に取材した内容が平易な言葉で説明されています。内容も予防医療普及協会の監修がしっかりとついており、その科学的信頼性についても安心できるものでしょう。
彼がピロリ菌こそが胃がんの原因であり、除菌することで予防できるという啓蒙活動を行ってきたことは有名だと思います。
一般にがんは生活習慣が大きな原因と思われているが、日本人のがんの約25%は細菌やウイルスによる感染症が原因といわれている。たとえば胃がんの場合、ピロリ菌への感染が主な原因で、検査で早期に感染がわかれば薬で除菌治療することができる。
これにより、私のまわり(私もふくめ)では健康診断の際にピロリ菌検査のオプションを選択する人が明らかに増加しました。この検査で胃がんにかかるリスクを減らせるなら当然でしょう。逆に、知らないことで予防のチャンスを失ってしまうことを考えると怖いなと思います。
本著では「心臓突然死」「脳血管疾患」「がん予防」「デンタルケア」など、どれもQoLに関する病気の予防について詳細に紹介されていますが、面白いと思ったのが「メンタル管理と自殺予防」というトピックをまっさきに扱っているところです。
病気よりもまず自殺についてのトピックを取り上げるところに、年間2万人以上が自ら死を選ぶ状況に対する著者の問題意識が感じられます。自殺予防の専門家である精神科医の松本俊彦先生の『自殺者の「死にたい」という気持ちは、裏を返せば「これほど辛くなければ生きていたい」という叫びだ』という指摘は今後も忘れずにいたいと強く思いました。
若年層においては事故死よりも自殺の方が多い状況を改善するため、自殺を選ぶ人はどのような問題を抱えている傾向があるか、「死にたい」とつぶやく人に対してどのように対応したら良いのか、本著を読むことで明確なガイドラインを知ることができます。
自殺を考える人の精神状態が平常でないことは間違いありませんが、ともすれば身体的な疾患に注目が生きがちな健康というトピックにおいてまっさきに自殺を取り上げるところに「人の命を守る」という著者の真剣さが感じられましたし、だからこそこの本は多くの人に読んでもらいたいと思いました。
ホリエモンは間違いなく現代日本におけるオピニオンリーダーの一人ではありますが、専門家と一緒に健康に関する正確な情報を広めていこうとするこのような活動は非常に価値のあるものだと思います。
ひとりでも多くの人が本書を手にとり、心身両面における健康についての知識を身につけて欲しいと思います。
「決算が読めるようになるノート」でおなじみのシバタナオキさんによる、スマート脳ドックの体験レポート。こんなにお手軽に脳ドックが受けられる時代になっていることに驚きです。今度健康診断のついでに受けにいこうと思っています。
ホリエモンの健康に関する別の著作。これによって胃がん=ピロリ菌のイメージが普及したと思います。
放射線技師達と放射線科医達の物語。「健康の結論」では子宮頸がんについて取り上げられていますが、同じく女性がかかりやすいがんのひとつである乳がんについて扱った話があります。男性側も知っておいた方がいい内容が多いです。
ラジエーションハウス 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 横幕智裕,モリタイシ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/07/19
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なぜ裏社会の経済はこんなに面白いのか - 猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言
ずっと気になっていたこの本をついに買ってしまいました。
まだ途中までしか読んでいませんが、買ってよかったと思わせる内容です。チャプター1では国際金融、チャプター2ではマネーロンダリングについて書かれているのですが、まるで専門家が書いたかのような、しかもわかりやすい描写が続き思わず引き込まれます。
ベルギーに本部を置くSWIFT(国際銀行間通信協会)は加盟金融機関同士でのメッセージタイプによる通信を仲介する組織で、あらゆる国際決済はもちろん、日本と海外の銀行間送金にもこのSWIFTシステムが使用されている。
加盟する金融機関は、それぞれ個別のコードを持ち、三井住友銀行にはSMBCJPJTが、三菱UFJ銀行にはBOTKJPJTのコードが与えられている。例えるならメールアドレスで、加盟金融機関はプロバイダー役のSWIFTを介したメッセージにより、国をまたぐ送金や証券の決済を指示するのだ。
さて、日本では不的確なパナマ文書の報道が相次いだ。そもそもパナマ文書の震源地はパナマではあるが、決してそこが中心地ではない。BVI(英バージン諸島) にこそモサック・フォンセカによってオペレートされた数々の不正が隠されているはずだ。
では、「パナマ文書」から何を読み解くのか ー 私が注目しているのは、CIS(クライアント・インフォメーション・シート)とSWIFTリファレンス(送金指示と資金移動履歴の詳細データ)だ。
まるで専門家と言いましたが、正真正銘の専門家による説明です(SWIFTの説明なんて、橘玲の本以来で久しぶりに目にしました)。ただし、反社会勢力の一員として最先端の金融を専門に活躍していた著者の、いわば裏社会人による経済解説とも言えるような内容になっています。
大阪の銭湯のロッカーからプライベートジェットを使った大量の現金の輸送など、カネの保管についてあらゆるスケールの手段が紹介されていたり、今の国際送金システムの説明を通じてアメリカが国際金融システムを支配できている理由が説明されていたりと、確かに正統派な経済の本には書かれていないようなトピックに焦点が当てられています。
読んでいて軽い興奮を覚えるのは、そのひとつひとつのエピソードが刺激的でスケールが大きいからなのでしょうか。
マネーロンダリングの手法として仮想通貨が使用されていたという話はいまや誰もが知っている話ではありますが、かつて橘玲が作家としてのデビュー作である「マネーロンダリング」という作品の中で描いた「割債の密輸」という方法に比べるとだいぶ洗練されたなあと感じます。
国際金融の世界では暴力団の看板なんて何の役にもたたない。最終的に国家には全く歯が立たないのがリアリティだ。その中でもアメリカと銀行はもっとも悪辣で強大な存在だと語る部分にはなんとも言えない説得力を感じました。これも著者が実際に体験した感じたことが余すところなく表現されているがゆえに醸し出る迫力とリアリティがあるためでしょう。
普段は目にすることのない、経済の別の顔を知ってみたい方には本書を読んでみると知的興奮を味わえるかもしれません。
*ちなみに西原理恵子は本書冒頭の猫組長との対談以外では出てきません。
マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで (幻冬舎新書)
- 作者: 橘玲
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/11/01
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誰も知らない世界の本当の姿 - Factfulness & Gapminder
突然ですが、あなたは今私たちが住んでいるこの世界についてどれだけ知っているでしょうか?例えば下記のような質問にどれだけ正しく答えられるでしょう?
- 世界全体の人間の平均寿命は?
- 50年
- 60年
- 70年
- いわゆる低所得国における女子の初等教育修了率は?
- 20%
- 40%
- 60%
- 世界全体で、1歳の子供が病気のワクチンを受けられている割合は?
- 20%
- 50%
- 80%
このような今の世界に関するシンプルな質問をされた時、その正解率は非常に低いそうです。一般人だけでなく、ジャーナリストや投資銀行で働くエリート、はてはノーベル賞受賞者に対して同様の質問をした場合でさえ、その正解率はチンパンジーがランダムに答えを選んだ時と同じレベルだそうです。
私たちはそれぞれ異なった世界の姿を思い描いています。しかし実際にはその思い射込みの多くが現実とかけ離れているのです。例えば世界の国が先進国と発展途上国に分断されているといった見方もその一つです。
それは私たちがファクト(事実)を正確に把握していないためであり、今後人類にとって本当に取り組むべき重要な問題を見つけるためには、ファクトベースで今の世界を見つめ直すことが必要です。
ということが、最近本屋で見つけて気になった『Factfulness: Ten Reasons We're Wrong About The World - And Why Things Are Better Than You Think』という本の中心的テーマになっています。
Factfulness: Ten Reasons We're Wrong About The World - And Why Things Are Better Than You Think
- 作者: Hans Rosling
- 出版社/メーカー: Sceptre
- 発売日: 2018/04/03
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著者であるハンス・ロスリングはスウェーデンの医師で、公衆衛生学者でもありカロリンスカ研究所の国際保健学の教授も勤めていた人物です。
本著はまだ邦訳未発売なのですが、全世界で24ヶ国語に翻訳されているところだというので間もなく日本語版が本屋に並ぶことになるでしょう。
先に本書の内容がどのようなものか知りたいという場合には、こちらのTED Talkがおすすめです。
この動画を見れば本書で紹介される内容がなんとなくイメージできるのではないでしょうか。この動画は少し古いので、最新のリサーチの結果なども本書に含まれてくるのではないかと思っています。このプレゼンを見れば、きっと本書もHONZなどの有名書評サイトで紹介されてヒットになるような内容だろうと予想しています。
ハンス・ロスリングはTEDに何度も登壇する超人気プレゼンターで、他にも多くの動画があるので気になる人はチェックしてみると良いでしょう。
また、このプレゼンで使われているダイナミックにチャートを動かせるツール『Gapminder』は公式サイトで使うことができるようになっています。
Gapminder: Unveiling the beauty of statistics for a fact based world view.
英語になってしまいますが、冒頭にあったクイズも受けられるので興味ある人はぜひチャレンジしてみてください。
英語で買って今すぐ読むか日本語版を待ったほうが早いか悩みどころですが、遅かれ早かれ読むことになる一冊になるのは間違いないと思っています。
植田かもめさんによる書評がありました。より詳しく内容を知りたい方にオススメ
超正統派ブルーバックス作品 - 科学者はなぜ神を信じるのか
科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで (ブルーバックス)
- 作者: 三田一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/06/20
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ブルーバックスの書籍で、タイトルに「神」の文字が見られるのは珍しいかもしれません。著者自らも作中でやや異色の趣向かもしれないと語っているくらいですが、中身は主に宇宙論に関する科学研究の発展の歴史を辿った非常に正統派ブルーバックス作品であると言えるでしょう。
本書は、 コペルニクスからホーキングまでこれまでに偉大な業績をのこした科学者の研究をわかりやすく解説するとともに、それぞれの科学者が科学と神の関係についてどう考えていたかを紹介する、知的刺激に満ちた一冊になっています。主に宇宙論の研究の変遷が中心的な内容になっているのは、宇宙に関する事柄がもっとも神の存在を感じやすいものだったからでしょう。
科学の発展によって、天体の動きをはじめとした多くの自然現象についてその原理が解明され、合理的な説明を与えられるようになってきました。それはすなわち、昔は神の御業としてしか説明ができなかった事象がひとつずつ姿を消していったということを意味します。
これは、中世ヨーロッパ社会で絶大な権威を誇っていたカトリック教会にとっては自分たちの盤石の地位を脅かすものとして映ったに違いありません。その結果、ガリレオの宗教裁判の例をはじめとして、自分たちが絶対としてきた聖書の記述と合わない仮説が出てきた際にカトリック教会がその説を潰しにかかるということが繰り返し行われました。
世界的ベストセラーになったダン・ブラウンシリーズの『天使と悪魔』だったり『オリジン』で描かれている宗教と科学の対立構造はここに由来するものだといえます。今やそこまでの深い対立はないかもしれませんが、ガリレオ・ガリレイへ謝罪しその名誉回復を行った当時のカトリック教会の教皇ヨハネ・パウロ2世でさえもビッグバンの研究を進めることに対しては否定的であったことを考えると、規模は小さくなったにせよこの構造自体は今も残っているのかもしれません。
しかし、この本で紹介されているとおり、科学者の側が神を信じていなかったかというと全くそうではありませんでした。ガリレオをはじめとして、そもそもカトリックであったという科学者は少なくありません。彼らは、各々細かい理由に違いはありつつも、なぜ神はこのように宇宙を創ったのかという興味から研究を進めました。
逆に、最初は神の存在を信じていなかった科学者でさえ、研究を進めるうちに世界が非常に洗練された仕組みによって動いていることがわかり、そこから何か超越的な知性の存在を信じるようになったパターンもあります。量子力学の大家ポール・ディラックは若かりし頃は神の存在を激しく攻撃していましたが、その晩年は自然の根底に流れる物理法則の美しい数学的理論に触れ、極めて高度な知性による宇宙の構築について触れた手記を残しています。
国連のある調査では、過去300年において目覚ましい業績をあげた研究者300人のうち80~90%が神の存在を信じると答えたと言います。本書を読めばさもありなんと思うことでしょう。作中で紹介される科学者それぞれの研究とエピソードの数々を通じて、昔から神の奇跡をその身(頭脳)をもって体験してきたのは優れた科学者自身であったろうということを思うようになりました。
この本が生まれるきっかけは、トリックの助祭にして理論物理学者として素粒子論を研究している著者が高校生を相手に講演をしている時に投げかけられた「科学者なのに科学の話の中で神を持ち出すのは卑怯なのではないか」という質問だったそうです。その答えは本書を読むことで明らかになるでしょう。
今の私たちにとって、奇跡が起こるのを見るのは難しくとも、それが存在していることを見るのはそう難しくないのかもしれません。
蛇足ですが、本書は直接的な科学関連の事柄だけでなく歴史として面白いエピソードが多数紹介されています。例えばピタゴラスのエピソードからは、ヨーロッパにおけるリベラルアーツの科目の謎が解けたように思いました。
リベラルアーツとは、「人が持つ必要がある技芸(実践的な知識・学問)の基本」と見なされた自由七科のことで、文系科目である「論理」「文法」「修辞(レトリック)」3科と「算術」「幾何」「天文」「音楽」の理系4科目です。
なぜ理系科目として「天文」と「音楽」が含まれているのか長年不思議だったのですが、下記のエピソードを読んで「算術」「幾何」も含めて4科目全てがピタゴラスに由来するものだとわかりました。
数学者でもあったピタゴラスは、音楽を数学で表現しようと考え、7本の弦を張ったハープに似た楽器を使って、実際にそれに成功しました。現在の音楽の基礎は彼が築いたといっても過言ではなく、弦を弾いて出す音階は「ピタゴラス音階」と呼ばれています。
ピタゴラスには音楽の他にもうひとつ、その美しさを数学で表現したいものがありました。広大な夜空に無数の星たちが輝く、宇宙です。彼は宇宙からは美しいメロディーが聞こえてくると弟子たちに説き、音楽が数学で表わせるなら、宇宙も同じように数学で表現できるはずだと考えました。
一流の科学者の一流の教養に触れられるのもこの本の魅力であることは間違いないと思います。
【Amazon.co.jp限定】ダン・ブラウン『オリジン』上下巻 セット 特製MAP付
- 作者: ダン・ブラウン, ,越前敏弥
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/02/28
- メディア: 単行本
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表紙をみただけでどうしようもなく惹かれてしまった本 - ぞぞのむこ
なぜこの本がこんなに気になるのかわからない。なぜか非常に惹かれるのだけれど、その理由がうまく説明できない。
初めて見たときから妙に気になる本だった。ただ家にはまだ読んでない本が何冊も残っている。先に読むべきはそちらだろう。
そのときはそうやって何とか本屋を後にした。
しかし、やはり気になってしまった。我慢できなかった。
帯に書かれた一文に、どうしようもなく興味を惹かれてしまったのだ。
「この町を出たら手を洗ってください、必ず」
普通、手を洗うという行為からは汚れを落とし、清めるということを連想する。
町を出たら必ず手を洗わないといけないということは、その町に踏み込んだら何かしらの汚れを纏うということである。そんな強烈に不吉の匂いがする町に関する物語に、なぜだか妙に引き寄せられてしまった。
この小説は、全5つのストーリーからなるホラー小説だ。各ストーリーは同じ世界線ではあるものの時間軸が若干ずれていたりと、基本的にはお互いに独立した話になっている。
仕事で漠市に立ち寄った翌日から、なぜか幸運なことが続く。夜には自宅前で昔の恋人に再会し、何か彼女の様子がおかしいと訝しげに思いつつも一緒に生活を始める会社員の話。
大学では準ミス・キャンパスに選ばれ華やかな生活を送るも、万引きがやめられない学生の話。ある日奇妙な文房具屋でハサミを盗った彼女は、後々それが漠市であったことに気づく。
大手建設会社を退職し、老人ホームで働き始めた男の話。漠市出身のカリスマ介護士に対抗心を燃やし、彼女の成功の秘密を暴き、何とか陥れたいと執念を燃やす。
漠市にあった小さな祠の賽銭箱にお金を入れてしまって以降、神様に願いと呪いを叶えてもらえるようになってしまった青年の話。
ある朝娘の姿が見えないことに気づき、娘を見つけようと奔走する母親の話。同級生に話を聞くと、娘は漠市にある「ざむざの家」に入っていったらしい...。
全ての話に「漠市」という共通項がある。
現実にもなんとなく不吉であまり近づきたいとは思わない場所というのものは各地に存在すると思うが、漠市もまさにそのような扱いだ。
内容は当然想像できるように、漠市にまつわるものに不用意に接触してしまった人々に起こる不条理で不気味な出来事に関するストーリーだ。
ホラーというジャンルであるものの、恐怖感というよりも嫌悪感、不快感を覚えるような話が多い。各話のタイトルを見てもらえればなんとなくどういう感じかわかってもらえるのではないか(それぞれ「じょっぷに」「だあめんかべる」「くれのに」「ざむざのいえ」)。
この物語の理不尽なグロテスクさ、本能的に感じる気持ち悪さの塩梅がよく、エンターテイメントとして楽しめる範囲内にバランスよく収められているところに著者の力量が感じられる。なんとなく吉村萬壱の作品に通じるところがあるように思え、とても楽しめた。
ちなみに、漠市以外にももうひとつ、どの話にも共通して出てくる要素がある。
それは矢崎という青年である。
矢崎は常に事実や正論しか言わず、いわゆる空気を読んだり人の気持ちに寄り添うようなコミュニケーションはしない(できない)。作業をするときはマニュアルに完璧に従う。そんな彼を周りの人間はロボットと呼んで煙たがっている。そんな人間として描かれている(周囲の人とのコミュニケーションについてもインターン生時代の上司が作成したマニュアルに従っているくらいなので筋金入りである)。
そんな彼は、どの話においても漠市に関わろうとする登場人物に対して、思い留まるよう助言や警告を行う。彼はなんと漠市に住んでおり、明らかにその町に対する「お作法」を心得ている人物として描かれている。とはいえ登場人物が彼の助言をはいそうですか、わかりましたといって素直に聞くようであればそもそもストーリーが成立しないので、彼の警告は常にカッサンドラの予言のように黙殺されるのだが。
この小説で漠市と関わる登場人物が次々と不気味な現象に見舞われて不幸になっていくなか、なぜ矢崎はその不吉な町で生活を続けられるのか(それどころか、矢崎は彼にとって漠市は最も住みやすい場所であると言い、就職を機に離れたこの町に再び舞い戻ってきている)。
それは矢崎には周囲への関心や未知への好奇心というものが全くないからではないだろうか。本書を読み通してみてそう感じた。周囲への干渉は最小限で、必要な時に必要なことだけを最低限行うといった生き方ができれば、妙なことに巻き込まれることもそうはないだろうと思わせる人物だった。
文章は平易で読みやすく、かつテンポがよく引き込まれてしまう。買ったその日に2時間ほどで一気に読み終えてしまった。暑い日に背筋が寒くなるようなぞっとする話がお好みであれば目を通してもらいたい一冊。
明らかに精神に異常をきたしているような少女の独白形式で話が進む。災害の後、みんなで助け合おうという「絆」を強調する海塚市という架空の町が舞台。本当におかしいのはなんなのか、読み進めていくうちにだんだんとその姿が見えてくる。
いわゆるタイムスリップもの。過去の改変を行うたびにどんどん不幸になっていくのだが、あと一回、あと一回だけとどうしても過去への逆行をやめられない主人公の姿に人間の弱さが見える。